テミスとテミスを超える者 2019 9 7

 香港政府が、いわゆる「逃亡犯条例改正案」の完全撤回を表明したので、
「これで、香港問題は解決に向かう」と考えるのは、楽観的な人です。
 「デモ隊」にとっては、
「いまさら遅すぎる。今頃になって」という思いが強いでしょう。
あるいは、「香港政府は、小出しに譲歩している」という見方でしょう。
 一方、北京政府が大きな譲歩をしたつもりでいると、
双方の思い違いが不幸を呼ぶことになります。
将来的には、香港へ軍事介入もゼロではないでしょう。
 政治的自由のベクトルは、
台湾、香港、中国南部へと向いているでしょう。
 だからこそ、北京政府は、
香港のデモ活動を座視できないでしょう。
 北京政府から見て最悪の事態となった時は、
デモ活動を鎮圧するかもしれません。
 その時、欧米諸国は、どうするのか。
香港市民は、英国籍を持つ人が多いと聞きます。
 欧米諸国は、中国を封鎖するのか。
しかし、世界経済への影響は大きなものとなります。
 香港の「ジャンヌ・ダルク」は、
どのような結果になるのか。
 本当は、香港問題は、
米中貿易戦争よりも、はるかに大きな問題です。
 もちろん、現状維持もあるでしょう。
中国が香港のデモを黙認することです。
 しかし、これは、やがて香港独立の導火線になり、
最終的には、中国南部にも波及することになるでしょう。
巨大な堤防も、蟻が開けた小さな穴から崩壊は始まる。
 今回の問題で、香港の人たちは、
自分たちの政治的自由を守るには、
最終的には香港独立しかないと知ったことになり、
一方、北京政府は、香港の人たちが、
政治的自由への強い信念があることを知ったのです。
このような「政治的非対称」は長続きしないでしょう。


















































































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